株式会社設立の流れ(定款作成に際して)
※ 合同会社の設立の流れも、簡単に言えば、定款の内容が違う点と公証役場での定款認証がない点を除けば、ほぼ同様です。
発起人を決める
■ 発起人
・発起人=会社を作ろうとする人のことです。
・基本事項を決めたり、定款を作成したりという一連の手続きを担います。
・1人以上で構いません。
・発起人は発行する株式を必ず1株以上引き受けなければなりません。
・法人も発起人になることができます。(子会社など)
■ 発起設立
・家族や友人等の限られた者だけが、発起人として資本金を出資します。
・発起人が、会社設立の際に発行する株式を全て引き受けます。
・小さな会社はほとんど発起設立です。
■ 募集設立
・より多くの人から資金調達をするのに向いています。
・発起人以外も株式を引き受けをします。
・発起設立より手続きが面倒で複雑です。
・募集設立は、小さな会社ではあまり行われません。
会社の名前(商号)を決める
商号とは社名のことです。まずは会社の名前を決めます。
できれば、3つほど考えておくといいでしょう。といいますのも、新会社法では、
類似商号の規制は廃止されましたが、以下のような制限や注意すべき事があります。
■ 同一の住所で同一の商号は使用できない(新商登法27条)
・特にビルのテナントに入る場合などは注意を要します。
・すでに入居しているテナントも十分調査をするといいでしょう。
■ 同一営業でなければ同一商号の使用は可能
・類似商号規制が廃止されたため、同一営業でも同一又は類似の商号を使用は可能ですが、後に差止請求や損害賠償請求を受けるリスクもあります。(会社法8条)
・特に、一般に広く認識されている他の会社の商号を使用して混同が生じるような場合は、不正競争防止法で禁止されています。
■ 商号の中に必ず「株式会社」を入れる
・株式会社の場合ですと、その商号の中に必ず「株式会社」という文字を入れないといけません。(会社法6条2項)
・その際に、いわゆる「前(株)」にするか「後(株)」にするかは任意です。
・また、合同会社の場合ですと、その商号の中に必ず「合同会社」という文字を入れないといけません。
■ 商号で使用できる文字
・商号に用いることができる文字は、以下のものに限られます。
・漢字
・ひらがな
・カタカナ
・ローマ字(大文字・小文字)
・アラビア数字(0、1、2、3、4、5、6、7、8、9)
・以下の記号(※ ただし、文字を区切る場合のみ)
・アポストロヒィ[ ' ]
・コンマ[ , ]
・ハイフン[ - ]
・ピリオド[ . ]
・中点 [・]
・アンパサンド[&]
■ 類似商号の調査(法務局で)
・類似商号規制が廃止されましたが、上記のリスク等も考慮して、念のため調査しておく方がいいでしょう。
・設立する会社の予定住所地の管轄登記所で調べます。
・どの管轄か不明な場合は、下記のページから調べることも可能です。
・法務局にある「類似商号調査のための閲覧申請書」を提出して調べることができます。(無料)
・大きい法務局(出張所でなく地方法務局の本局)だと、備え付けのコンピュータで自由に閲覧できるところもあります。
事業目的を決める
■ やりたい業務内容をとりあえず全て列挙
・会社は、定款に事業目的として書いてある事業しか行うことができません。
・現に行う事業・将来行うかもしれない事業も含めて、まずはやりたい業務内容をとりあえず全て列挙します。
・後に変更・追加する場合はその都度、定款変更の登録免許税3万円かかります。
・ただし、登記完了後は「登記事項証明書(会社の登記簿)」に記載されるので、誰でも見ることができます。
・そのため、あまり多すぎると、何をしている会社なのかが分かりにくくなり、信用問題に関わる可能性もあります。
・法人が発起人になる場合は、その法人の目的を1つでも子会社の目的に入れておく必要があります。
■ 目的の適格性の検討・・・適法性・営利性・明確性・具体性
・「具体性」に関する要件は緩和されましたが、特に許認可が必要な事業の場合は、「具体性」は必要になってきます。
・許認可が必要な事業の場合は、その事業を的確に記載しておく必要あります。
・また、定款の事業目的に、その業種名を入れておかなければ許可が下りない場合もありますので、許認可を受ける官庁に事業目的の記載方法について、必ず相談・確認するようにしましょう。。
例:建設業ならば、「土木一式工事」などと建設業の業種を入れる等
| 事業の業種 | 担当窓口 | 許認可の種別 |
| 飲食店営業 喫茶店営業 食肉販売業 魚介類販売業 旅館業 薬局 医薬品販売 医療用具販売 |
保健所 | 許可 |
| 古物商・質屋 警備業 道路使用の営業 風俗営業 マージャン店 |
警察署 | 許可 |
| 深夜営業の飲食店 | 警察署 | 届出 |
| 人材派遣業 | 労働局 | 許可 |
| 建設業 | 都道府県庁土木監理課 (国土交通大臣) |
許可 |
| 産業廃棄物処理業 | 都道府県庁環境課 (政令都市は市役所) |
許可 |
| 酒類販売業 | 税務署 | 免許 |
| 貴宝製品・毛皮製品 じゅうたん販売業 |
税務所 | 申告 |
| 宅地建物取引業 | 都道府県庁住宅課 (国土交通大臣) |
免許 |
| 一般旅行業 | 陸運局 | 登録 |
| 国内旅行業 貸金業 |
都道府県庁 | 登録 |
| 理容業 美容業 クリーニング業 ペットショップ業 |
保健所 | 届出 |
住所(本店所在地)を決める
■ あまり移動しない場所を選ぶ
・本店を移転すると、登記の変更手続きが必要でその都度手数料がかかります。
・管轄内・・・3万円(例:「大津市から大津市」へ移転)
・管轄外・・・6万円(「大津市から草津市」へ移転)
■ 定款上の住所地は最小行政区画までの記載でいい
・例:「当会社は、本店を京都府京都市に置く」にしておくと、「京都市」の範囲内なら定款変更の手続きをしなくて済みます。(その場合でも本店所在地変更の移転登記は必要です。)
・番地等は定款認証後に発起人の過半数で決め、議事録を作成します。
事業年度(決算期)を決める
■ 1年を超えない期間の末日
・決算期は1年を超えることはできませんが、1年以内であればいつでもよく、特に理由がなければ年1回にしておきます。
例:2月設立なら翌年1月31日にする(※登記申請日が設立日)
決算期が2月の時は注意 ⇒ うるう年があるので2月末日にする
■ 会社設立月の直前の月を決算期に(一例)
・初年度の決算手続きを遅く出来ます。
・例えば、2月に設立設立して3月を決算の会社にすると、すぐ決算申告しなければならなくなります。
例:3月設立で3月決算
⇒ 設立したその月に決算しないといけない羽目になることに
■ 決算事務を決算期後2ヶ月以内にしなければならない
・法人税の確定申告を2ヶ月以内にしなければなりません。
・決算期後3ヶ月以内に株主総会で決算報告をします。
・10月31日決算だと、繁忙期の12月に決算事務をしなければならなくなるので注意が必要です。
株式譲渡制限会社にする
■ 定款で定める
・経営権が簡単に他人に渡らないようにする為のリスクヘッジのようなものです。
・取締役・監査役を「株主に限る」という定款の定めも可能です。
・取締役会を置く必要はありません。
・監査役を置く必要はありません。(ただし、取締役会を置いたときは必要です。)
・取締役は1名以上で構いません。(ただし、取締役会を置いたときは3名以上必要です。)
・取締役の任期は2年、監査役の任期は4年が原則ですが、取締役・監査役の任期を最長10年まで延長できます。
・株式の譲渡には株主総会又は取締役会の承認が必要になります。
(取締役会を置かない場合は、株主総会でなく代表取締役でも可能です。)
会社の機関設計をする
■ 必ず必要な機関
・株主総会
・取締役1名以上(取締役会を設置する場合は3名以上)
■ その他の機関
・取締役会
・3名以上の取締役が必要で、その取締役で構成されます。
・株式譲渡制限会社の場合は、その設置は任意です。
・代表取締役の選任など重要な業務についての意思決定を行います。
・監査役
・取締役の職務執行や会社の会計を監査を行います。
・株式譲渡制限会社の場合は、その設置は任意です。
・取締役会を設置した場合は、原則設置しなければなりません。
・株式譲渡制限会社は、監査役の監査の範囲を、会計に関するものに限ることもできます。
(この場合、監査役を置いても会社法上の監査役設置会社には該当しません。)
・監査役会
・3名以上の監査役(うち半数以上は社外監査役)で構成されます。
・委員会
・主に大企業で機動的な経営と実効的な監督を可能とするために設けらます。
・指名委員会・監査委員会・報酬委員会からなる機関です。
・会計参与
・新会社法で新設された機関で、設置は任意です。
・取締役と共同して計算書類の作成などを行います。
・税理士・公認会計士のみが就任可能です。
■ 主なパターンは次の3パターン
1.自分一人タイプ
・設置する機関は、株式総会と取締役です。
・自分で資本を出し、自分1人が取締役に就任することになります。
・取締役は1名以上で構いません。
・取締役1名なら、自動的にその取締役が代表取締役となります。
2.複数でするタイプ(特に2名の場合が多い)
・設置する機関は、株式総会と取締役です。
・取締役を複数名置くことが多いです。
・取締役会は設置しません。
・取締役2名以下なら取締役会の設置はできません。
・各取締役に代表権があります。
・業務執行の意思決定は過半数で決定します。
・代表取締役を定める場合は、定款・定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会決議で取締役の中から定めます。
3.取締役会を設置するタイプ
・設置する機関は、株式総会・取締役会・取締役・監査役となります。
・取締役3名以上と監査役1名以上が最低必要になります。
・しっかりとした合議制システムを作りたい場合は、このタイプが適しています。
・代表取締役は必ず取締役会で選定しなければなりません。
■ 役員の任期
・取締役の任期は2年、監査役の任期は4年が原則です。
・株式譲渡制限会社にしておくと、取締役・監査役の任期を最長10年まで延長できます。
・役員改選の登記費用を削減するため、5年や10年にしている場合も多くあります。
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